58.−2006.03.06「松井三郎氏の中西準子氏に対する名誉毀損訴訟を検証する
(その9)第5回口頭弁論の報告」

時間がとれず、時期を失してしまいましたが、2006年1月27日に行われた第5回口頭弁論の状況を簡単に報告しておきます。
第4回の傍聴が出来なかったので、久々に横浜地裁へ。今回は開始時間が10時30分と、いつもより早かったのだが、11時開始と思いこんでいて、10時30分直前に地裁へあわてて駆け込む。エレベータホールで松井三郎氏らしき人が見えたので、これは本人が登場かと期待。
傍聴席に着くと、ちょうど中西さん側の面々も法廷に入るところであった。直ぐに松井氏と代理人弁護士も入廷してきて、まず、松井氏が傍聴席に向かって、「さんざん出てこないと嫌みを言われましたが、出てきましたよ。」というような発言をする。席につきながら、中西さんに向かい「常識はずれのあなたのことばが事の始まりです」というような発言。中西さんも「裁判に訴える方が常識はずれではないですか」と応酬。まだ、開廷前だが、一気に乱闘模様。

 これまで、代理人弁護士グループの主導でこの裁判が起こされたのでは、という疑念がずっとあったが、松井氏も主体的に関与していることがはっきりした感じ。
 裁判官が入廷し、10時30分を回ったところで開廷。裁判長から傍聴人も多いので、被告側の準備書面(2)について要約して説明してくださいという指示があり、弘中弁護士が説明。論点の幾つかを挙げると、
・原告側は訴え後の被告の言動についていろいろと準備書面に書いているが、今回の訴訟の論点は、雑感に記載された内容が名誉毀損か否かであって、その他の言動が名誉毀損の事実の立証に関係するなどということは聞いたこともない。法廷外での言論まで広げる意味のない、刺激的な議論は止めていただきたい。撤回を求める。
・何が問題かを明確にすべきで、枝葉末節をとらえて問題にするのはおかしい。末節を除けば、原告の主張は「環境ホルモン」と「ナノ粒子」に関する部分だけであり、被告が書いたのは、「最初の情報発信に気をつけよう」という題の下に書いた「環境ホルモンは終わったという意味である」と「自分で読んで伝えてほしい。でなければ、専門家でない」ということだけである。原告が主張する「原告が、原論文を読まずに、あるいは、十分に吟味せずに」というようなことは書いていない。シンポジウムで、原告が新聞記事を示しつつ「次のチャレンジはナノ粒子だと思っています」とだけ述べたことは事実であり、原告が陰で勉強しているとか、いないとかを問題にしたことでないことは明らかである。

これに対し、中下氏からは、提訴後の中西氏の発言も問題にしたい。新たに訴訟を起こすことを考えたい旨の発言があった。裁判長は、拡大するのはいかがなものかという旨の発言があった。

中西さんからは、訴訟中だからこの訴訟に関係する意見を発言できないということになれば、言論の自由の観点から納得できないとの趣旨の発言がある。
松井氏は「中西氏が名誉毀損的発言を続けているのが問題。謝りなさい」という趣旨の発言。
 裁判長からは次回の日程調整が提起され、4月14日午前10時30分からとなる。また、裁判長からは「裁判所としては円満な解決ができるとよいと考えている」旨の発言があったが、双方共に、相手の態度が変わらないことにはということで、物別れ。

 以上が、第4回口頭弁論の大凡の内容であった。
今回松井氏が出廷して少なくとも以下のことが理解できた。
・松井氏本人は、中西さんがHPに書いたことに本当に腹を立てているらしく、謝罪されなければ、納得できないと思っているらしいこと。
・提訴後に、中西さんが裁判についてHPで書いたことについても、腹を立てているらしいこと。
である。
 しかし、痛いところをつかれたから腹を立てるということと、名誉毀損の事実があるかとは全く別である。ましてや、訴訟を提起する際に述べた、「自分は、シンポジウムでナノ粒子の問題について十分説明したのに聞いていなかったのか」といった主張は、すでに、録音テープの証拠により崩れてしまっている。腹が立つことを書かれたから謝れという主張が成り立つ状況にないと思うが、それにはできるだけ触れずに強弁し続けている感じである。