60.2006.09.20「松井三郎氏の中西準子氏に対する名誉毀損訴訟を検証する
(その10)第8回口頭弁論の報告:裁判はいよいよ大詰めへ」

直接の関係者、特に訴えられた被告側の負担は大きいと思われるが、裁判はゆっくりとしか進まず、既に訴状の提出から一年半が経過した。しかし、825日の第8回口頭弁論で漸く訴訟の終盤が見えてきた。既に他のサイトなどで裁判の進行状況はご存じかも知れないが、ここでも簡単に報告しておく。

 第8回口頭弁論は、松井氏側は弁護士が3名、中西氏側が中西さん本人と弘中弁護士の2名の出席で、定刻の1030分を少し回って始まった。傍聴者はいつものように20名弱ほど。今回は証人尋問について審議するはずであったが、まず、裁判長から人証の前に確認しておきたいという発言があり、左陪席の主任裁判官から2点について質問があった。

 一つめは松井氏側に対するもので、名誉毀損の事実摘示は訴状に書かれたことでよいか、という質問。これは、松井氏側が訴訟の進行に従い、最初の訴状に書かれた内容を超えることについて、名誉毀損の証拠として示してきていたことに対応するものと思われる。弁護士は何か言おうとしたが、「基本的に訴状に書いたことで良い」と認めた。これは、これまでの訴訟での準備書面などで、次々と範囲を拡大してきたことからして意外な展開であった。不意を打たれたということか。二つめは、名誉毀損と学問上の批判との関係で、両方に対して見解を聞いた。松井氏側は、「学問的批判に名を借りた単なる誹謗中傷である。」とした。中西氏側は、弘中弁護士が、「国会や法廷などでは激しく批判しても名誉毀損にならない。学問の場合も同じで、批判は名誉毀損に当たらない。批判は本来の目的である。」という主張を述べた。裁判長は調書にすると述べた。

 次いで、中西氏の陳述書(乙11号証)が提出された。内容は「中西準子のホームページ(http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/)、あるいは、「環境ホルモン濫訴事件:中西応援団(http://www.i-foe.org/defendant/index.html)」で全文を読むことができる。本訴訟全体を見渡せる内容になっているので、是非読んでいただきたい。

 次に、人証についての審議に入った。松井氏側から申請された有園証人については、中西氏側からは、既に前回の口頭弁論で必要ないという意見書が提出されていた。裁判長からは、有園氏については陳述書を書面で提出していただき、証人尋問は保留にしたい。先に、原告と被告の本人尋問を行い。その後で、有園氏の尋問の必要性について考えることにするという判断が示された。弘中弁護士によれば、本人尋問が終われば、後は判決がでるだけということなので、裁判もいよいよ大詰めである。

 次回以降の日程の調整に入り、松井氏本人の証人尋問と反対尋問が10271330分から、中西氏の本人の証人尋問と反対尋問の日が12114時からと決まった。松井氏は証人尋問と反対尋問が各1時間、中西氏は各40分である。何れも502法廷になる予定で、第2回から8回まで続いてきたラウンドテーブル方式は終了である。

 なお、尋問時間が違う理由であるが、松井氏側が1時間を主張したので、反対尋問も同じ時間になった。中西氏側は40分で良いとしたので、反対尋問も同様に40分と決まった、ということである。弘中弁護士によれば、今回のように事実関係がはっきりしている(録音テープもある)場合、1時間も聞く必要はないはずということだった。

 当事者の中西準子さんにとっては人証もまた気が重いはずで、このように書くのは大変気の毒なのですが、いよいよこの裁判も見せ場が近づいたということになります。