Washington D.C. Oct. 22-25, 2003
CoML全体会議でWashingtonDCに行く.1996年頃に来たときにはなかった地下鉄の空港駅は,空港のすぐ近くで,世界一便利だ.その空港のすぐそばがペンタゴンだ.一回乗り継いでDupont Circle駅から数分歩いてホテル(HiltonWashingtonTowers)に泊まる.とても高いが,他になかった.翌朝,あるいて会場である自然史博物館に向かう.少し道に迷って(京都より易しい街だが,南と東を間違えた)半時間ほどかかった.途中,FarragutSquareにはいくつか銅像がある.その向こうは大統領官邸だ.さらにその向こうにワシントン記念碑がみえる(まだ上ったことがない).環境保護庁の建物はなかなか立派だ.博物館の北門の前には,中米文明の作った巨大石碑がある.シンポジウムは10時に始まるが,まだ2時間ほど間があるので周囲を散歩する.ペンシルバニア通りの建物はどれもすてきだ.FederalTradeCommissionの前の銅像.はす向いのカナダ大使館はかなり斬新な設計で,右手前は太い柱が一本と,円形にならべた円柱だけで支えている.国会議事堂はペン通りなど放射状の通りの中心に位置して,街の遠くからでも眺めることができる.国際貿易センタービルもペンタゴンも象徴だが,議事堂がテロ攻撃で壊されたら,やはり米国民の衝撃はもっとずっと大きかっただろう.議事堂の前の銅像は何の戦争を表したものだろうか(説明がない).議事堂からワシントン記念碑を望む.天気がよくて(寒かったので下着を2枚重ねに着たが)とても気持ちがよい.さらに足を伸ばしてユニオン駅にいく.1階の喫茶店の他に,地下にはファーストフード店のモールがある.6ドルくらい出して,皿一杯の朝食を楽しんでいるようだ.外見は東京駅とどちらがよいか.こちらの方が国家を感じさせる.
博物館の中で,午前中は報道陣を呼んだ記者会見(白山さんもNaGISAプロジェクトの説明に立っていた)と,各プロジェクトのポスター展示がある(わがF-MAPはない).時間があるので,ついでに博物館の中を見た.海洋生物の展示がなくなったと言われたが,節足?動物が上陸するところから説明が始まった.化石骨をばらばらに掘り出したままの状態の再現など,玄人好みの展示だ.
さらに時間があったので,隣の米国歴史博物館に行く.開拓時代の米国人の暮らしの説明では,洗濯のしかた(バケツ一杯の水を持ったり,布を絞ったりする体験器具もある)まで説明されている.米国にできた貴族社会の説明では,なぜか貧富の格差の形成が「ダーウィンの進化理論の誤解」という説明がある.昔の新聞社の印刷機の実物が展示されている.いくつか方法があったらしい.輪転機もある(これくらいなら,エジソンが汽車の中に持ち込めただろうか).写植機はタイプライタとは全く違う形だったらしい.
午後にはCoMLのシンポジウム(Known, unknown, unknowable)が始まる.2部構成で,後半は白山さんが司会(講演者の左隣)をしていた.Sloan財団(GMが出資)が主たる出資組織ということで,生物多様性保全と持続可能な開発がCoMLの理念である.CoMLの全貌がようやくわかりかけてきたが,深海の研究が多い.seep(プレート境界の海底火山ことみたいだ)や海嶺(ridge)に沿った深海観測点の生物調査などが盛んに行われ,昔トロールを深海におろして採集して記載した深海生物種を生きた映像でみせている.新種もある.海底火山にあるサンゴ礁「共生系」には固有種が多いことはわかるが,多種共存機構は不明である.南ア人はサハラの未開拓の海の研究をしていて,アフリカが貧しい国が多いという事情を強調していた(南アでさえ,小学校の半分に燃料や水道がなく,国民の多くがエイズ感染者だと数字を挙げて説明していた).Rutgers大学のCoML科学者会議議長はとても上手に全体の研究成果の紹介をしていた.既知は少なく,未知は膨大で,知り得ないことがあることには気づいてさえいないというのはその通りだと思う.応用課題は一見明確で,GISなど多くの新技術を地域調査に応用することがうたわれ,H-MAPの目玉である400年間のデンマークのニシン漁獲統計(18世紀の漁獲量が一番多い),地域調査の中でも,NaGISAは一番重視されている.NaGISAがアラスカと南米まで拡大したのは,途上国でもできるという調査デザインがよかったからだろう.鮭とマグロにタグを付ける調査事業(それぞれPOST,TOPP)は日本にも広げてよいはずだ.深海の生物相と表層の一次生産量の関係は私も興味がある.3万以上の海山のうち200にしか生物がいなかった(とれなかった)というのは半信半疑だ.巨大イカも隠れダコやダンボ蛸も発見される.シンポの後で博物館内のマンモスの下で立食パーティーをやる。TimSmithがいた。私が転職するのでIWCには行かないかもしれないといったら、ぜひ来いと何度も言っていた。白山さんところに北大からPostDoc(加藤君)を採用したという。
翌日は8時からRonaldReaganBldgで全体会議。昨日の午前(報道向け)、午後(公開シンポ)、今日(メンバー向け)と同じような話を3度聞くことになる。さすがにこのビルは身体検査が厳しい(Smithsonian博物館も無料入場者すべてを検査している。それでも無料を維持するのはすごいかもしれない)。昼食はビル内でBuffetだった。いったん外に出たら、また身体検査を受けなくてはいけない。チリの海洋微生物学者ガラード教授は、昨夜自分の研究成果をわかりやすく個人的に説明してくれた。会議終了後、近くのOldEbittGrilというレストランで晩餐会をやる。ものすごく混んでいた。TimSmithとNewZealandの海洋学者(北大馬渡教授の友人で、父親は日本軍に殺されたとか)の間に座り、向かいにはRansomMyers、他に知らない人たちという席に着いた。ほかにも十近い卓が囲まれた盛大な会だったが、昼や昨夜と違って何の挨拶も乾杯もなかった。
さて、今夜だけ泊まる(3連泊は予約できなかった)HolidayInnNationalAirportを探そうと電話帳をめくったが出てこない(たぶん、空港はDC市内でないからだろう)、とにかくHolidayInnに電話して空港駅に行く指示を受け、空港に向かう(夜11時でも開いていた)。タクシー乗り場とシャトルバス乗り場の係員に順に聞いて、無料シャトルバスにのる(こんな時間でもあった)。搭乗員といっしょだった。乗ってみると、とても歩いていける距離ではなく、むしろ地下鉄の駅前のホテルのほうが気楽だったかもしれない。いずれにしても、ネット検索でも安いホテル・モーテルがみつからない(モーテルは駅前にはないか)。こんなに便利な町なのに、泊まる場所には苦労した。
翌朝,NewArk経由で帰国する.NewArkまでの便はビジネスマンで一杯で,通勤用のContinentalExpressだ.天井が低いのには驚いた.未明のワシントンDCはワシントン記念塔や連邦議会議事堂がはっきり見えた.