ユネスコ「人間と生物圏」(MAB)計画
UNESCO's Man and the Biosphere Programme
日本MAB計画委員会 Japanese Coordinating Committee for MAB
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ウェブサイト移転のおしらせ。本サイトは10月9日をもって新たな更新を停止し、全体を新しいサイトhttp://mab.main.jp/に移転しました。今後は新サイトをよろしくお願いします(2015.10.9)
◎ユネスコMAB(「マブ」=人間と生物圏)計画とは、自然の恵みを守り、かつ合理的かつ持続可能に利用するためのユネスコのプログラムです。日本では「人と自然の共生」と呼ばれますが、人間社会と環境の両方をよい状態に保つために、自然資源を持続可能に管理する人々の能力向上を目指します。MAB計画の中でも生物圏保存地域(Biosphere
Reserve=日本での通称「ユネスコエコパーク」)が主要な活動です。(文責松田裕之)。
◎MAB計画事業は,第16回ユネスコ総会(1970)にて発足が承認された「人間とその環境との相互関係を研究する政府間学際的長期計画」の一環として行われています.
◎MABとは,UNESCO's Man and the Biosphereのことです.人間(man)と環境(the biosphere=生物圏)との関係について,よりよい人間の生存のためにはよりよい生物圏を維持することが必要です.
◎日本におけるMAB計画の主な担い手は、ユネスコ国内委員会(以下「国内委員会」、事務局:文部科学省ユネスコ第3係)、同MAB計画分科会(以下「MAB分科会」、そのメンバーのうち国内委員以外を以下「調査委員」)、日本MAB計画委員会(以下、「計画委員会」)、日本ユネスコエコパークネットワーク、各地のユネスコエコパークです。
◎MAB計画の全容を知るには、以下のMAB計画の特徴のほか、リンク内の以下のサイトを参考にしてください。
今後の主な予定 (敬称略)
- 2015年
- 11/5 日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会
- 2016年
- 3/14-18:第5回世界BR会議、第6回世界島嶼沿岸ユネスコエコパークネットワーク(WNIBR)会議(ともにペルー国リマ)
- 3/18-19(予定) 第28回国際調整理事会、
最近の動き (敬称略)過去の動き
- 10.5-9:東アジア・ユネスコエコパークネットワーク(EABRN)会議(志賀高原)
- 10.6-8:第3回日本ユネスコエコパークネットワーク(JBRN)大会(志賀高原) 開催案内
- 9.1-2:パリユネスコ本部においてMAB戦略ワーキンググループ(MSG)会合が開催され、6月に採択されたMAB新戦略に基づく2016-2025年までのMAB行動計画案(Ver.1)が議論された。日本からは松田調査委員・計画委員が参加。
- 8.24:日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会が文科省内で開催され、「白山」、「大台ヶ原・大峯山・大杉谷」及び「屋久島・口永良部島」の拡張登録について、ユネスコに推薦することが決定された。文科省 農水省 環境省
- 8.5:ユネスコエコパークを活用したESD教員向けガイドブックがユネスコスクールサイトに掲載
- 6.8-12:第27回ユネスコMAB国際調整理事会(ICC)がユネスコ本部(パリ) にて開催され、MAB戦略(2015-2025)が採択
- 5.18:日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会が文科省内で開催され、磯田博子筑波大学教授が分科会主査となった
- 4月 山梨英和女子高校生徒が南アルプスBRテーマに ユネスコスクール高校生ESD作文コンテストにて入賞しました
- 3.24-26:世界島嶼沿岸生物圏保護地域ネットワーク会合がマルタ国バレッタで開催され、屋久島から岩川卓誉氏、田中計画委員が参加 UNESCO
- 3.21:日本生態学会鹿児島大会企画フォーラムにて松田調査・計画委員が「ユネスコエコパークと野生動物管理」について講演
- 3.20:2014年度第2回日本MAB計画委員会(鹿児島大学中央図書館)開催
- 2.24: 日本ユネスコエコパークネットワークのブランド活用WGを文部科学省国際課応接室にて開催
- 2.21 第1回自然保護地域管理シンポジウムが東京農工大学で開催され、綾BRについて綾町石田達也氏などが講演
- 2.17: 横浜国大にて日本ユネスコエコパークネットワーク作業部会開催 規約案(工事中)
- 2.16:計画委員会・地球研地域環境知MAB-TF共催の国際ワークショップ「日本・カナダのMAB活動及びMAB新戦略」開催。カナダのReed教授らが来訪
- 2.14: 南アルプスユネスコエコパーク登録記念式典が北杜市須玉農村総合交流ターミナルホールで開催。増澤計画委員が講演
- 2.4: 祖母傾ユネスコエコパーク大分・宮崎推進協議会が佐伯市役所大会議室で開催された。構成する2県6市町と大分県と宮崎県の祖母傾ユネスコエコパーク推進協議会が参加し、酒井計画委員が招待講演した。
- 2.1: 「グリーン・パワー」1月〜3月号に綾BRの「てるはの森の会」の紹介が連載。2月号に「日本におけるユネスコエコパークの展望」掲載。
- 2015.1.28 .国連大学サスティナビリティ高等研究所(UNU-IAS)いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(OUIK)主催国際シンポジウムにてユネスコNY科学専門官Ana Persiij氏、田中俊徳計画委員が生物文化多様性について講演、山口隆氏が白山BRについて講演
- 2014.12.19:MAB戦略会議から次期戦略素案と今後の日程が公表され、各国国内委員会に回覧された。
- 2014.12.13:日本エコミュージアム研究会主催「エコミュージアムとジオパーク、エコパーク お互いの経験から学び合う」が池袋にて開催。酒井計画委員が講演。
- 2014.11.15-16、29: 白山ユネスコエコパークリレーシンポジウム”ユネスコエコパークで再発見する地域の魅力”(15日郡上市、16日高山市、29日白山市)を開催。朱宮計画委員(15日、16日)、中村計画委員、鈴木和計画委員(29日)が講演
- 2014.11.27-28:第2回日本ユネスコエコパークネットワーク会議(於、白山BR)を開催。既存7BRを含む10地域の自治体関係者らが参加した。 NACS-J 勝山ESD
- 2014.11.13-14: ユネスコ本部にてMABの新戦略と行動計画の会合が行われ、松田調査・計画委員が参加した。(議事メモと今後の日程)
- 2014.11.12:国連大学サステイナビリティ高等研究所・環境省・地球環境パートナーシッププラザ主催「地域のステークホルダーをESDでつなげよう」が文科省主催「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」の併催行事として名古屋で開催され、朱宮計画委員が講演した。
- 2014.11.7: 白神山地財団主催「第一回白神山地未来会議」が弘前市で開催され、酒井計画委員がユネスコエコパークについて講演した。FB
- 2014.11.8:岡山コンベンションセンターにおいて「第6回ユネスコスクール全国大会/ESD研究発表会」が開催され、MAB計画委員会事務局がユネスコパートナーシップ事業の成果をポスター報告した(MEXT)
- 2014.10.25-26.:2014年度「中部東ブロック・ユネスコ活動研究大会in木曽」が開催され、鈴木邦雄国内委員主査、鈴木和次郎計画委員が講演した。(日野製薬Blog)
- 2014.10.2:朝日環境フォーラムでセッション「豊かな森と人〜おいしい水がわき出るエコパーク」で松田調査・計画委員と南アルプスBR関係者2名がパネル登壇
- 2014.09.28第5回日本ジオパーク全国大会(南アルプス大会、長野県伊那市)において、分科会「ジオパークとユネスコエコパーク」を開催。伊那市小林竜太氏、白山市中村真介氏らがコーディネーター
- 2014.9.19-20:第1回ユネスコエコパーク全国サミットin志賀高原 開催。鈴木国内委員主査が基調講演。
- 2014. 9.8: ユネスコ国内委員会MAB計画分科会が文科省内で開催され、既存登録地の拡張申請概要書などが話し合われた。議事要録 議事録
- 2014.8.8-10:JICA、マレーシア大学サバ(UMS)とサバ州主催のThird Country Training Program of
Sustainable Development of Biodiversity and Ecosystem Conservation (SDBEC)がUMSで開催され、松田調査・計画委員が講義した
FB Lecture
- 2014.8.3-4:只見ユネスコエコパーク登録記念シンポジウム.松田調査委員が基調講演した
- 2014.07.22白山国立公園岐阜県協会総会(於、岐阜県郡上市)において、白山ユネスコエコパーク協議会事務局員中村真介が「白山ユネスコエコパークが問いかけるもの」と題して講演
- 2014.7.15 計画委員会主催の公開勉強会「国際的な自然保護制度を対象とした国内ネットワークの比較研究‐世界遺産条約、ラムサール条約、ユネスコMAB計画、世界ジオパークネットワーク‐」を横浜国大において開催し、田中俊徳計画委員が講演した。 FB
- 2014.7.14 第1回屋久島口永良部島ユネスコエコパーク地域推進協議会が屋久島離島開発総合センターで開催され、湯本計画委員らが参加した。
- 2014.7.5:ユネスコパートナーシップ事業「ユネスコエコパークを活用したESD教材の開発」第1回会合、ならびに日本MAB計画委員会が南アルプス市地域防災交流センターで開催された。翌日には計画委員会が南アルプスBR広河原を現地調査した。
- 2014.6.10-13:ユネスコMAB国際調整理事会がスウェーデン国ヨンショーピン大学で開催され、11日に南アルプスと只見が新規ユネスコエコパークに登録され、12日に志賀高原ユネスコエコパークの拡張申請が承認された(文科省 林野庁、環境省 )。これで日本のユネスコエコパークは7つとなった。
- 2014.6.6-9 「第2回国際照葉樹林サミット in 屋久島」で湯本計画委員、朱宮計画委員が講演 Blog
- 2014.6.7: 第70回日本ユネスコ運動全国大会in知床「持続可能な社会の構築を目指して〜知床に集おう!ユネスコの英知」, 斜里町ゆめホール知床。加藤ユネスコ統括官が来賓あいさつし、松田調査・計画委員がパネル登壇
- 2014.6.6 第5回自然公園研究会「ジオパーク・エコパークを考える」において、酒井計画委員、朱宮計画委員が講演
- 2014.5 朝倉書店から「世界自然環境大百科」(第9巻:北極・南極・高山・孤立系」(大澤雅彦調査・計画委員監訳)がMAB計画との共同企画出版偉業として刊行された。
- 2014.5.15: 生物圏保存地域国際諮問委員会の勧告内容が公表された
- 2014.5.7: 第2回白山ユネスコエコパーク協議会
- 2014.5.2: 日本地球惑星科学連合2014年大会において白山市の中村真介氏らが「 白山におけるジオパーク、ユネスコエコパーク、国立公園の連携」を講演
- 2014/4/22: 河野耕三綾町専門監が宮崎県地域づくり顕彰大賞受賞
- 2014.3.16: 第61回日本生態学会大会企画集会「ユネスコエコパーク:持続可能社会を実現するための実効性のある制度を目指して」が広島国際会議場にて100余名が参加して開催され、酒井、朱宮、鈴木、木村、田中計画委員が講演した。写真
- 2014.2.20: 竹田、豊後大野、佐伯3市にまたがる祖母傾山系のユネスコエコパーク登録を目指す「祖母傾ユネスコエコパーク推進協議会」が発足した。 大分合同新聞
- 2014.1.27: 白山市役所において、富山、石川、福井、岐阜4県と南砺市、白山市、大野市、勝山市、高山市、郡上市、白川村、環白山保護利用管理協会による白山ユネスコエコパーク協議会の設立総会が開催され、文部科学省、農林水産省、林野庁、国土交通省
、環境省の担当者を含めた約50人が出席した。酒井暁子計画委員が参加し、中村浩二計画委員とともに参与に着任した。 北国新聞
- 2014.1.17:大台町の奥伊勢フォレストピアにて大台ヶ原・大峯山ユネスコエコパーク保全活用推進協議会設立総会及び大大台ヶ原・大峰山ユネスコエコパーク地域シンポジウムが開催され、文科省堀尾協力官、松井計画委員らが講演した。毎日新聞三重
- 2013.12.22:南アルプスBR推薦地がウェブサイト開設
- 2013.12.14-15:屋久島離島開発総合センターにおいて屋久島学ソサエティー設立大会開催。湯本計画委員が暫定会長に就任
- 2013.12.9 ストックホルム・レジ リエンスセンターが行った屋久島BRに対するアンケートに回答した。
- 2013.12.1:NPO法人木曽ユネスコ協会主催「木曽のブランド化 ユネスコエコパーク講演会」が木曽郡民会館にて開催され、酒井計画委員が講演
- 2013.11.19: 十和田市役所十和田湖支所において「ユネスコエコパーク講演会」が開催され、酒井計画委員が講演した。デイリー東北 YouTube
- 2013.11.13-17:仙台においてアジア国立公園会議が開催され、松田調査委員が日本のBRの取り組みについて口演、白山市がポスター展示するなど多くの関係者が参加した。
- 2013.11.10:産業技術総合研究所臨海副都心センター別館においてサイエンスアゴラ主催ワークショップ「ジオパークとユネスコエコパーク」が開催され、酒井計画委員が講演した。
- 2013.10.25-26:只見町においてユネスコ国内委員会主催の日本ユネスコエコパークネットワーク会合が開催され、国内5つのBRと南アルプス推薦地から関係者が出席した。27日には只見町主催のシンポジウム「ユネスコエコパークと地域振興」が開催され、佐藤調査委員が基調講演した。
- 2013.10.15-17:カナダ国Brockville, Ontarioにて欧州北米MAB会議(EuroMAB 2013)が開催され、日本からは佐藤哲調査委員などがObserver参加した。
- 2013.10.21-25:モンゴル国ウランバートルにおいて第13回東アジアBRネットワーク会議が開催され、大澤調査委員、酒井計画委員、志賀高原BR山内町から酒井氏が参加した。PDF
- 2013.10.3:JICA、マレーシア大学サバ(UMS)とサバ州主催のThird Country Training Program of Integrated
biodiversity and Ecosystem ManagementがUMSで開催され、大澤調査・計画委員が講義した Program Lecture
これ以前は過去の活動をご覧ください。
MAB計画の特徴
MAB(Man and the Biosphere、人間と生物圏)計画は、UNESCOが1970年から始めた保全と利用の調和を図る国際的な取り組みです。特に、手付かずの自然を守ることが原則となる世界自然遺産と違い、日本が主張している「自然との共生」の理念にも合致します。「人間と生物圏」という名称自体が、その理念を表しています。
MAB計画の財産の一つは、ユネスコエコバーク(BR)が1995年セビリア戦略で掲げた核心・緩衝・移行地域というZoning(分区制)です。これはMAB計画の経験が生み出した保全と利用の両立を図る知恵です。それ以前はこの3区分は必須ではなく、日本の1980年登録の4つのBR及び屋久島、白神、知床世界遺産はもどれも核心地域と緩衝地域*を持っていました。日本の林野庁の「森林生態系保護地域」もかつてのBRをモデルとしたと言われています)。現在のMAB計画は、保護ずべき核心地域と、自然資産を持続的に利用する移行地域を分け、移行地域での取り組みを重視しています。
世界に二つとない原生自然の希少価値を認知する趣旨の世界自然遺産の新規登録が極めて厳しくなりつつあるのに対し、ユネスコエコパークは海外では順調に登録地を増やし続けています。これは、世界各地で保全と利用の両立を図るという取り組みが進んでいるからです。この取り組みは、希少価値でなく、人と自然のあり方のモデル(模範)となる地域です。日本からも、地域の取り組み、国内での連携だけでなく、国際的な連携を図るには、MAB計画が絶好の舞台となります。MAB計画の経験と研究成果は国際的な財産であり、MAB計画には登録地の取り組みを世界と学びあう組織と人と地域の輪(地図、一覧)があります。
ユネスコエコパークに登録するには、候補地の自然の価値の記載だけでなく、地域にかかわる研究者、それを利用する地域の人々、地方行政府の日常的な活動が必要です。これも、国家が責任を持ち、法規制で保護する世界遺産と異なり、参加型アプローチ(Participatory approach)と呼ばれる、これら地元の担い手が主役となる取り組みです。MAB新戦略(2015-2025)では、登録地の環境にやさしい農林水産物を積極的に商品化(Brand化)する国際的な支援策も検討しています。
知床世界遺産では、2005年の登録時に政府が地元漁民に「遺産登録に伴う新たな規制を行わない」と約束し、審査したIUCNが海域の更なる保護を求めたのに対して、漁民が自ら禁漁区を拡大する措置をとりました。これは共同管理の典型例として国際コモンズ学会は2010年に「世界の6つのインパクトストーリー」の一つに選びました。この知床の取り組みは、世界遺産というよりMABの理念に沿うものといえます。
自然保護には、手つかずの自然をありのままに保存する考え(Protectionism)と、自然の恵みを持続可能に利用する保全という考え(Conservationism)があるといいます。世界自然遺産は前者であり、MABは後者の典型と言えるでしょう。国際的にも、世界危機遺産に指定されていたガラパゴスなど、世界遺産登録後にMAB/BRに登録した例があります。
2010年10月2日 松田裕之
2015年9月12日一部改訂
*2012年6月改訂 日本ユネスコ国内委員会ではBuffer zoneの訳語を「緩衝地域」と定めました
*MAB計画とは何かについてはユネスコMAB計画のサイトも参考にしてください。
日本MAB計画委員会 Japanese Coordinating Committee for MAB (このサイトの問合せ先)
事務局:横浜国立大学大学院環境情報研究院 酒井暁子
〒240−8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79−7
email:jccmabgmail.com 電話:045-339-4361 FAX:045-339-4375
敬称略