35.−2003.10.02「人の健康を守る施策の効率性比較」

   ハーバード大学のリスク解析センター(Harvard Center for Risk Analysis)では人の健康に関する何らかのintervention(介入、対策)とその効果に関するデータを集積してきた。すなわち、医療や健康診断などにおける費用効果解析結果の集大成である。このデータ集では、医療などにかかる資源(コスト)と健康上の便益を、代替対策との比較で評価しており(cost-effectiveness analysis)、健康上の便益はquality-adjusted life yearsQALYs=健康の質で補正した生存年数)で表している(これをcost-utility analysis = CUAと呼ぶそうだ)。結果として得られたデータは、健康な1年の寿命を延ばすのにかかる対策費用を2002年価格で統一的に表示している(CU RatioUS$QALY)。このデータ集は http://www.hsph.harvard.edu/cearegistry/ で公開されている。
 これまでは、1997年までに公表された報告に基づいたデータベースとなっていたが、近頃、2001年までにデータが拡充された。総計で539の研究に基づく1500を超える事例になった。
 これを見ると、その対策を取った方が、既存の代替対策より費用も少なくてしかも効果も大きい(cost-saving)対策から、費用はよけいにかかるが健康上の便益も増える対策(US$QALYで、4020,000,000というような値が算出されている。コストも便益も負の場合も含む。)、そして、その対策を取ることでコストは上昇するのに、健康上の便益はかえって低下するもの(dominated)、に分類されている。
 もちろん、算出された数値は大まかなものであり、誤差も大きいと考えるべきであるが、われわれが医療や健康診断を選択するための一定程度の判断材料になる。
 具体例を以下の表に示す。
 ここで、対象が限定されていることに注意して欲しい。利益を受ける人の集団があり、他方で、費用を負担する集団があるのだが、それは必ずしも同じ集団とは限らない。治療費を個人が負担する場合ももちろんあるが、税金で行う施策もある。したがって、必ずしも費用効果の良い順に実施すればいいというものでもない。実際の選択は人々の判断によることになる。
 さて、紹介したデータベースは医療に関するものが中心だったのでCU Ratioの推算も比較的楽だった。推算は更に難しくなるが、環境対策についてもこのような指標を導入することができる。
そして昨今は、政治の世界でもマニフェストが議論されるようになった。このような分野でも基本的な情報として費用効果が示されていく必要がある。公共事業の効率性などは最も知りたいこところだ。もちろん、便益を受ける人と費用負担者は必ずしも一致しないのだから、それらの数値を眺めつつ、優先順位を決めるのは我々選挙民だ。

表 コスト効果解析データベース中のcost-utility比の一例

対象集団における介入と比較対象  2002年価値US$でのCU比

  HIV-RNAが検出された25歳のHIVに感染した女性において、
  随意の帝王切開 vs. 通常分娩 

cost-saving

  C型肝炎に感染した40歳の患者において、インターフェロンαで
  6ヶ月処置する vs. 処置しない(既存の処置のみ) 

$5,000/QALY

  65歳以上の人において、
  肺炎双球菌とインフルエンザの予防接種を合わせた
  福祉サービスを拡大 vs. 普通の予防接種サービス 

$13,000/QALY
  運転者について、
  運転席側のエアーバッグ vs. エアーバックなし 
$30,000/QALY
  乳ガンの高リスク女性を対象に、
  Tamoxifenによる化学予防 vs. サーヴェーランス 
$84,000−160,000/QALY
  65歳の急性下肢虚血患者において、
  血栓溶解 vs. 外科手術 
dominated

34.−2003.09.26「今年度のダイオキシン類の国際キャリブレーション結果−本研究室の結果は良好−」

   毎年ダイオキシン分析の精度がどの程度であるかを調べるために、同一の試料を世界各国の分析機関が分析を行い、結果を集計する国際キャリブレーションという事業が行われている。
 当研究室は過去にも参加したことがあるが、今年は2年程、間を置いての参加である。今回の分析を担当したのは博士課程後期2年の小林憲弘君である。キャリブレーションの試料には標品(1つ)、燃焼試料(=灰、2つ)、土壌(3種)があるが、当研究室が参加したのは標品と燃焼試料である。
 結果の内、ダイオキシン(PCDDとPCDF)の部分を取り出して図示してみた。
 図1が標品の分析結果で、これは、各分析機関の使っている標準溶液が一致しているかを見たテストだということができる。溶液になっている試料をそのままGC/MSで定量するだけであるにもかかわらず、各分析機関の定量値は大きくばらついていることが分かる。特に、感度の落ちるOCDDやOCDFでばらつきが大きい。図中では参加機関の平均値を赤で、中央値を緑で、平均±標準偏差を水色で示している。青の大きい印が当研究室の結果で、全ての異性体で平均±標準偏差の間に入った。HxCDFの2つなどで平均や中央値から20%程度までずれたが、多くの異性体では平均値から±10%以内のずれであった。
 図2には焼却灰Cの結果を示した。図で見ると濃度の高めの異性体でばらつきが大きいように見えるが、(標準偏差/平均値)で見ると、低濃度の異性体もばらついている。標品の分析ではこの値は20〜30%に収まっていたが、焼却灰CのPCDDとPCDF異性体では35〜200%となっていて、更に分析機関間での違いが大きくなっている。当研究室の結果は、中央値と非常に良い一致を示しており、多くが10%以内の相違、一番大きく異なった1,2,3,4,6,7,8-HpCDFでも平均や中央値から25%程度の違いであった。このように、今夏の結果では、本研究室の結果は良い部類だったと言えよう。担当した小林君ご苦労様でした。

33.−2003.09.03「人類に対する健康リスクの概観−WHOのThe World Health Report 2002から−」

 今日は、最近公表されたWHOの”The World Health Report 2002 –Reducing Risks, Promoting Healthy Life”(レポートの全文はWHOのホームページhttp://www.who.int/whr/en/ から入手可能)の内容を紹介する。
 この報告は人類の健康リスクについてWHOが行ったこれまでで最大の調査をとりまとめたものである。健康に対する二十数種のリスク因子について、それらが引き起こす死亡と損失余命について推算し、健康リスクの大小を概観できるようにしている。この報告は、人類の健康のために何をなすべきかの優先度を判断するための地図だと言えよう。なお、報告ではリスクは共通の単位で評価する必要があるとして、余命の損失に加えて健康の質の喪失も考慮し、DALYs (disability-adjusted life year)で表現している。すなわち、1 DALY=完全に健康な一年の寿命損失、である。報告では世界を大きく3分類している。すなわち、「死亡率の高い開発途上国」、「死亡率の低い開発途上国」、「先進国」である。健康に対するリスクの推算結果を図にまとめよう。
 まず、図1がこれら3つの世界におけるDALYsの分布であり、このうち、種々の色がついている部分が今回検討されたリスク因子によるDALYs、灰色がその他の要因によるDALYsである。図2では、今回検討されたリスク因子だけについて寄与割合を示している。世界全体のDALYsに対する寄与の大きなものは、
  1.低体重(Underweight
  2.危険な性交渉(Unsafe sex
  3.高血圧(High blood pressure
  4.喫煙(Tobacco consumption
  5.飲酒(Alcohol consumption
  6.不衛生(Unsafe water, sanitation, and hygiene
  7.高コレステロール(High cholesterol
  8.固形燃料からの室内煙(Indoor smoke from solid fuels)
  9.鉄欠乏(Iron deficiency
 10.肥満(Obesity
 ところが、これを地域別に見ると全く違ったものが見えてくる。「高死亡率開発途上国」の大きな健康リスクは、1.低体重、2.危険な性交渉、3.不衛生(水など)、4.固形燃料からの室内煙、5.亜鉛欠乏、6.鉄欠乏、7.ビタミンA欠乏の順で、2を除いて貧困(により栄養が十分にとれないこと)が根本的な原因となっている。
これに対して、「先進国」では、1.喫煙、2.高血圧、3.飲酒、4.高コレステロール、5.肥満、6.野菜果物過少摂取、7.運動不足、と言う具合で、2〜6までが食物の過剰(または、偏った)摂取が原因となっており、豊かな生活の中で不健康な選択していると言えよう。したがって、全く違う対応が期待されることになる。
 もちろん、本調査は種々の仮定に基づいた推算であり、十分に正確とは言えない。また、考慮されたリスク因子も限られている。しかし、我々が被っているリスクを広い見地から概観させてくれる。環境汚染としては、都市大気汚染、鉛曝露、気候変動が取り上げられているが、大気汚染が先進国でようやく14番目に現れるだけである。先進国人々は、個人の選択だけでも2〜3年程度の余命を延ばすことができそうだ。

 

32.−2003.09.03「PCB廃棄物処理事業の評価」を評価する

  2001年5月に「残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約」が採択され、POPs対策が世界的に求められるようになった。日本では2001年6月に「PCB特別措置法」が制定され、15年後の2016年7月までにPCB廃棄物の処理を終えることが法律に明記された。これに基づき、環境事業団が全国に数カ所のPCB廃棄物処理施設を順次建設していく計画になっている。北九州事業では建設工事の契約が済み施工段階、東京事業では契約が済み設計段階になっている。
 環境省ではこの環境事業団を活用したPCB廃棄物処理事業について「行政機関政策評法」に基づいて事前評価を行っており、その中間とりまとめが公表されている1)。さらに、事業の進捗に従って、建設費などがより明確になったとして、その費用計算を更新した報告も示されている2)。ここでは、これらについて紹介し、見解を述べたい。
 公表された評価の結果を表1と表2に総括した。比較対象事業として取り上げられているのは、平成9年から14年12月にかけて実施された廃棄物焼却施設に対するダイオキシン対策である。この場合、焼却炉からの排ガス処理の高度化や施設の早期更新をするために必要となった費用と、通常の立て替えを待たずに処理を高度化したことによる排出ダイオキシン量の削減量から費用効率が求められている。
 これに対してPCB処理事業は3つの評価方法で費用効率が算出されている。いずれもPCBはそれに含まれるコプラナーPCBのダイオキシン毒性等価量として評価されている。単純に建設費をPCB処理量で割った結果がAであり、この場合は焼却炉のダイオキシン対策より10倍以上効率がよいことになる。しかし、PCBは処理されなくてもすぐに全量が環境に放出される訳ではないので、環境放出がこれまでのペースで継続されるとして、放出量が削減されるとして評価したのがBとCである。BとCは、それぞれ、ここ10〜30年について評価した場合と、保管PCBがすべて環境放出されてしまうであろう290年間を対象に評価した場合である。Bはここ10〜30年の間に受ける便益(PCB放出量の削減量)だけを考慮し、将来の人が受ける便益は無視するので、PCBの問題を現在の世代が負担して解決するというシナリオに相当する。Bでは焼却炉のダイオキシン対策とほぼ同程度の効果と評価され、Cでは1〜3倍程度効率がよいという評価になっている。
 これまで、私は排ガスという非常に濃度の低いダイオキシンの対策より濃厚廃棄物であるPCBの処理は効率がよいはずであり、また、PCB廃棄物の保管を続けることで環境へ放出や紛失されるPCBが増えていくことから、PCB処理を迅速に行う必要があると主張してきた。今回の評価でも確かにPCB廃棄物処理が排ガスのダイオキシン対策より効率がよいことが示されている(特に、Aの場合)。
 しかし、これでめでたしとは行かない。今回のPCB処理には施設建設コストしか含まれておらず、施設の運転管理費や廃棄物の収集費用は含まれていない。従って、実際はさらに高くなる。(もっとも、保管費用が不要になること、同じTEQのダイオキシンとPCBでも、人の暴露量としての効果は異なり、コプラナーPCBの方がより問題となるであろうこと、および、PCBにはコプラナーPCBとしてだけでなく、PCBとしての問題もあること、など、PCB処理に有利な側面で、考慮されていない事項も存在する。)
もう一つの大きな課題は、PCB処理法として化学処理が選択され、それによる費用効果しか検討されていないことだろう(この点については、建設地の自治体と住民が化学処理以外の、例えば焼却法を受け入れる状況にないことから検討の対象にならなかったことが評価検討会の報告に記載されている)。確かに、焼却法は感情的に受容されにくい現状にあるが、処理技術としては確立されており処理コストを削減できる可能性が高い。私はこれらの処理方法間の比較評価を示すことこそが大事なのだと思う。それなしには、感情的な反発の次元からより高次の次元への議論は進みようがないのだから。結局のところ、PCBの化学処理を既に採用された焼却炉のダイオキシン対策と比較し、効率が悪くないと評価するだけでは、現状の追認で終わるしかないのだ。
そこで、提案としたいのは、
1)濃度の高いものを処理しているにも係わらず、放出量で比較した場合の費用効率は比較的高価についているダイオキシン対策と大きく異ならないのは、費用効率の悪い処理を採用した結果ではないか。
2)現在PCBを保管している企業等が料金を払って処理を委託するという方式からして、処理費が高くなるほど、負担を嫌う者がPCB廃棄物を闇に葬ることにつながる可能性がある(リスクが小さいと見られる高価な処理法を採用することで周辺住民の受容性を向上させることと、不法処分によるリスク増大のトレードオフがある)。
などの点を考慮した再評価である。
 今回は中間とりまとめとのことであり、さらなる比較評価が期待される。
ところで、処理事業での独立採算が期待されている環境事業団にとっての最大のリスク因子は、民間処理業者が参入し、低価格で処理を引き受けることであろう。

表1 予定されるPCB廃棄物処理事業の施設建設費とPCB廃棄物処理量

施設費用 処理対象PCB量
中間とりまとめ
H15.31)
建設費に係る効率性について
H15.5.132)
PCB総量
(Total PCB)
ダイオキシン当量
(kg-TEQ)
北九州事業
(第一期)
156億円 (156億円) (1,400 ton) (30.0)
北九州事業全体
(第一・二期)
  349億円  5,000 ton  107.0
豊田事業 336億円   336億円 3,900 ton  83.5
東京事業 464億円  339億円  4,400 ton  94.2
大阪事業 435億円   435億円 4,300 ton  92.0
北海道事業 141億円   141億円  500 ton 10.7
合 計 1,532億円  1,600億円  18,100 ton 387.4

表2 PCB廃棄物処理事業と廃棄物処理施設排ガスのダイオキシン対策の費用効率比較

評価のポイント    事業 費用効率
(億円/kg-TEQ)
備考
(出典)

A)
放出可能性量の削減量で
評価   
  

  
 

北九州(第一期) 5.2 2)
北九州(第一・二期) 3.3 2)
東京事業  3.7 2)
5カ所平均 4.9 1)
ごみ焼却施設ダイオキシン対策  54171 1,2)

B)
環境への放出量の低減量で評価(現在より1030年間について評価=現世代が責任を負う)

北九州(第一期) 52156 2)
北九州(第一・二期) 3194 2)
東京事業 35106 2)
5カ所平均 46140 1)
ごみ焼却施設ダイオキシン対策 54171  1,2)

C) 
PCB存在量の全部が環境へ放出されることを考慮した放出量低減量で評価(現在より290年間で評価=将来の世代の受ける便益も加味)

北九州(第一期) 64 2)
北九州(第一・二期) 38 2)
東京事業 42 2)
ごみ焼却施設ダイオキシン対策 54171  2)

A) 予定PCB廃棄物処理量と予定建設費から算出
B) PCB廃棄物の保管からこれまでと同様な環境放出が今後も続くとした場合、それが処理により削減されると考える。現在の世代がその費用負担をするとしてここ10〜30年を考慮。
C) PCB廃棄物の保管からこれまでと同様な環境放出が今後も続き、290年かけてすべてのPCBが環境に放出されるとし、この放出が処理により削減されると考える。290年に年利4%で費用負担を均等に配分。

引用文献
1) PCB 廃棄物処理事業評価検討会:PCB 廃棄物処理事業評価検討会〜中間とりまとめ〜(平成15年3月)
2) 環境省廃棄物リサイクル対策部産業廃棄物課:北九州事業と東京事業の施設の建設費に係る効率性について(お知らせ)(平成15年5月13日)

31.−2003.08.27「集中講義とChemosphere特集号」

予告無く備忘録の夏休みをいただきました。申し訳ありませんでした。
1.集中講義
7月末に北海道大学で集中講義を行いました。夏の北海道ということで、避暑になると期待していたのですが、本州も冷夏でこれは期待はずれでした。
講義は大学院生(博士前期課程)を対象としたもので、講義名は「物質環境科学特別講義U」。毎年、違った学外講師が担当することになっているらしい。私は、横浜国立大学大学院で行っている「環境動態解析(化学物質の環境中での挙動の数理的な表現、モデル化、解析方法)」の内容を短縮して、朝9時から夕方まで3日間で話ました。なか日には講演会を開催していただき、私どもがここ数年行ってきた日本のダイオキシン汚染の過去から現在に至る状況の解析結果と将来予測について1時間半をかけて総括的に話させていただきました。これは、広く案内をしていただいたようで、講義の受講生に限らず、先生方や学外の研究機関の方も大勢集まっていただき、議論も活発で有意義でした。
集中講義を担当するのは初めてだったのですが、夏休み時期に、連日、朝から午後までの講義ということで、こちらは話し続けているので良いのですが、聞く方は緊張が続かないことや、講義毎に宿題を出すというようなことはできなかったこともあり、提出してもらった課題の解答レポートのできはそれほどよくなかったという印象でした。本講義は実際の化学物質による汚染問題に対処する素養を目指していますが、先生方のお話では、実際の問題を扱う講義は少ないということで、受講の学生さんにはとっつきにくかった点もあるようです。学生さんの雰囲気は本学とあまり変わらない。むしろ、違わないことに驚いた感じです。学生気質は全国一律ということなのでしょうか?

2.Chemosphere特集号
 2001年1月に横浜国立大学で開催した4th International Workshop on Risk Evaluation and Management of Chemicalsを特集したChemosphere誌が漸く発刊になります。53巻4号です(2003年10月号)。中西準子先生を研究代表者として科学技術振興事業団の支援を受けた「環境影響と効用の比較評価に基づいた化学物質の管理原則」の研究プロジェクトの成果論文15編が一挙掲載です。雑誌のHPのURLは以下の通りです。

http://www.sciencedirect.com/science?_ob=JournalURL&_cdi=5832&_auth=y&_acct=C000009198&_version=1&_urlVersion=0&_userid=117487&md5=3a6994055728694be825e4f1a4d6d847&chunk=xxx

掲載論文一覧
Chemosphere Volume 53, Issue 4, Pages 277-436 (October 2003)
Masashi Gamo, Tosihiro Oka and Junko Nakanishi: Ranking the risks of 12 major environmental pollutants that occur in Japan, Pages 277-284 
Hideo Kajihara, Akihiro Fushimi and Junko Nakanishi: Verification of the effect on risk due to reduction of benzene discharge, Pages 285-290 
Atsuo Kishimoto, Tosihiro Oka and Junko Nakanishi: The cost-effectiveness of life-saving interventions in Japan: Do chemical regulations cost too much?, Pages 291-299 
Wakae Maruyama, Kikuo Yoshida, Takayuki Tanaka and Junko Nakanishi: Simulation of dioxin accumulation in human tissues and analysis of reproductive risk, Pages 301-313 
Shigeki Masunaga, Yuan Yao, Isamu Ogura, Takeo Sakurai and Junko Nakanishi: Source and behavior analyses of dioxins based on congener-specific information and their application to Tokyo Bay basin, Pages 315-324 
Hiroyuki Matsuda, Shunsuke Serizawa, Kunihiko Ueda, Tatsumi Kato and Tetsukazu Yahara: Assessing the impact of the Japanese 2005 World Exposition Project on vascular plants' risk of extinction, Pages 325-336 
Mariko Murata, Naomasa Iseki, Shigeki Masunaga and Junko Nakanishi: Estimation of effects of dioxins and dioxin-like PCBs on wildlife population––a case study on common cormorant, Pages 337-345
Wataru Naito, Jiancheng Jin, Youn-Seok Kang, Masumi Yamamuro, Shigeki Masunaga and Junko Nakanishi: Dynamics of PCDDs/DFs and coplanar-PCBs in an aquatic food chain of Tokyo Bay, Pages 347-362
Wataru Naito, Ken-ichi Miyamoto, Junko Nakanishi, Shigeki Masunaga and Steven M. Bartell: Evaluation of an ecosystem model in ecological risk assessment of chemicals, Pages 363-375 
Mayuko Nakamaru, Yoh Iwasa and Junko Nakanishi: Extinction risk to bird populations caused by DDT exposure, Pages 377-387
Junko Nakanishi, Masashi Gamo, Yoh Iwasa and Yoshinari Tanaka: Environmental risk evaluation of chemicals: achievements of the project and seeds for future––development of metrics for evaluating risks, Pages 389-398 
Isamu Ogura, Shigeki Masunaga and Junko Nakanishi: Analysis of atmospheric behavior of PCDDs/PCDFs by a one-compartment box model, Pages 399-412 
Tosihiro Oka: Cost-effectiveness analyses of chemical risk control policies in Japan, Pages 413-419 
Yoshinari Tanaka: Ecological risk assessment of pollutant chemicals: extinction risk based on population-level effects, Pages 421-425 
Kikuo Yoshida and Junko Nakanishi: Estimation of dioxin risk to Japanese from the past to the future, Pages 427-436