52.2005.6.10 環境省が低濃度PCBを焼却処理すると方針転換:賛成! でも、今頃になって!

 6月6日付けの朝日新聞に、「環境省方針 低濃度PCB焼却へ、高温なら安全と判断」との記事が出た。環境省は、ポリ塩化ビフェニールの濃度が低い液体は高温で焼却すれば安全に無害化できると判断した、ということらしい。
2005.6.18追記: 環境省はこのような発表や決定はしていないということのようで、この報道は先走り過ぎだった可能性がある。)

  PCBはものであっても、適切な施設であれば焼却出来ることは20年も以前に実証ずみである。20021030日の備忘録2(関連:備忘録32)でも記したように、現在既に運転が始まっている日本環境安全事業のPCB処理プラントがまだ計画段階にあったとき、その処理法の検討に際して、私は焼却処理も検討対象の一つに加えるように主張した。私の意図は、周辺住民の意向で最終的に化学処理が選択されるのは構わない。しかし、技術を評価する委員会としては、焼却が周辺住民の合意が得られないからと言って、最初から除外する必要はないということであった。しかし、合意が得られない処理法は諮問の対象外であると退けられた。

  化学処理は費用がかかる。しかも、一部では脱塩素して卒業基準までPCB濃度を下げた処理油をさらに焼却処理するという二重処理まで行われようとしている。日本環境安全事業によるPCB廃棄物の処理は、既に処理料金表も提示されているが、非常に高料金になってしまった(http://www.jesconet.co.jp/p-htm/hokan.htm)。PCB廃棄物を持っている人が払うことになるわけだが、これでは、料金が高いので処理を委託するのを躊躇することになるのではないか。私が懸念した通り、
過剰な処理 → 処理コストの上昇(資源の浪費)→ 迅速な処理も困難に
という状況になった。さすがに、環境省もこの処理システムだけでは無理と判断したようだ。

  早く方針転換し、より広い範囲のPCBについて焼却処理を取り入れていれば、そして、もう少し住民に納得してもらう努力を惜しまなければ、現在試験運転に入ろうとしている東京事業の低濃度PCB処理施設のような無駄な投資はしなくて済んだのではなかろうか。同じ効果を得るのに、高価な処理プラントを建設した上に運転費用もかさみ、資源とエネルギーを浪費する(=二酸化炭素の排出量を増やす)ことになってしまった。

益永研究室ップ